「こんなにも警戒されていないとは……」

呆気にとられながらも、すぐに思考を盗賊モードに切り替える。
花を整えていた手をとめると、すぐに部屋の中央に立ち
部屋中を見回した。もちろん少女を含めておかしな点がないかを探る。

部屋にはこれと言っておかしな点はあまり見当たらない。
普通ならばそう判断するだろうが、蔵馬の目には見覚えのある花がうつった。

つかつかと近づき、しおれかけの花が1輪雑に花瓶にいけてあるのを手にとる。

「これは……魔界のエンジェルトランペット」

ふと部屋に入ってきた時から香っていた独特の甘い香りの正体はこれだったのかと納得する。
人間界にも存在するこの花は和名でキダチチョウセンアサガオとも言う。
幻覚作用だけでなく、意識混濁や吐き気、倦怠感、最悪の場合は死に至る有名な毒草の一つだ。

一見すると下向きに咲いた黄色いラッパ状で大ぶりの花が特徴的な美しい見た目をしているが
厄介なのはその匂いを直接嗅いだだけでトランス状態になる程の毒性の高さ。
今は枯れかけ、あまり毒性を発していないが少し前はもっと毒が強かったはず。

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彷徨いアリス