実際、この甘い匂いをずっと嗅いでるとフラフラしてきた。
危ないと慌てて手元から花瓶にうつし、距離をとった。

「木になるはずのこの花がなぜここにあるのか……そしてなぜ人間界産ではなく
さらに強力な魔界産がここにあるのか」

あの王子気取りのロメオという男だけでは到底無理だ。
魔界に精通する協力者がいる。

思っていたよりも面倒だなと息をはくが、少女を奪還するためにはやるしかない。

まずは少女を連れてこの屋敷から出る必要がある。
屋敷をでてすぐの森でコエンマと合流すれば
人間界へとすぐに帰還できる手はずだ。

「意識はある。――俺のことが分かる?」

目の前で指を揺らすが反応が鈍い。
蔵馬を見上げて、小さく首をかしげる少女。

「わか……ない」

思考力も落ちているみたいだ。記憶喪失の線は薄いだろうから
薬さえ抜ければじょじょに意識を取り戻すはずだ。

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彷徨いアリス