「この薬が効けばいいが……」
幻覚剤を打ち消す効力のある液体が入った小瓶をポケットから取り出した。
この薬は万が一のために麻薬から持ってきていた花の茎から抽出した薬だ。
これ単体だと毒になるが、この薬の面白い点は
全ての薬物を接種した状態で服用すればその効力を強い毒で消し去ってしまうこと。
もちろん、服用後も虚脱感や頭痛が数日続くなどの副作用もある。
しかし今ここで幻覚で意識が朦朧としている彼女を連れて帰るのは難しい。
それに幻覚剤には中毒性もある。早く身体から抜かなければ。
ごめんと一言告げるとグイッと小瓶をくわえ、少年は液体を口に含んだ。
すぐに長い指先が少女の唇を開かせると舌を差し入れて薬を移する。
薬を移動しおえたのを確認して、名残惜しく唇を離した。
塗れた少女の唇に吸いつきたくなるのを呑み込み、指先でその唇を抑える。
そのおかげで吐き出すこともせずに、ゆっくりと少女の喉が動いた。
無事に薬を飲んでくれたことに一息つく。
「こんな風に君とファーストキスをするつもりじゃなかったんだけどな」
さぁ、これが効けば後は屋敷からどうにか連れ出さなければ。
即効性はないが、10分もあれば効いてくるはずだ。
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彷徨いアリス