「出てもいいかな」
ゆっくりとベッド下から這い出て服についた埃を払う。
少女に視線をやれば、じっとコチラを見ていて息を飲んだ。
「俺のこと分かる?」
近づき、顔をうかがうがまだ思考はぼんやりしているらしい。
どれだけ幻覚剤を使ったんだと悪態をつきつつも
奥の手を使うしかないかと静かにため息をついた。
それはあの薬が効きにくい場合に使われる手段。
服用者にショックを与える。――それは肉体的でもいいし、精神的なものでもいい。
ただハッと我に帰るほどのショックを与えなければならない。
あまりこの手は使いたくなかったなと視線を下げれば大きく吐息で上下する胸が目に入った。
ごくりとつばをのみ、なるべく見ないように少女に一言詫びる。
「これしかない……すまない…紅葉」
自分に言い聞かせるように呟いた後、深呼吸をし
少年はおもむろに利き手でその大きな乳房をわしづかんだ。
少女の生気が抜けた瞳が一瞬の間を置いた後にすぐに見開かれる。
すぐにその瞳がゆっくりと、掴まれた胸へと動いた。
同時に少女の青白かった頬に赤味が増していく。
「いっ…意識もどっ」
確認する蔵馬の声を遮るように、部屋にバチンッと乾いた音が響いた。
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彷徨いアリス