花嫁エスケープ!!
「ごめん、蔵馬……」
でも、蔵馬が悪いといつもなら謝りっぱなしの少女も
今回ばかりは少し恨めし気に無言で睨みつける。
蔵馬はその視線を鮮やかに交わしながら、まるで何も
なかったかのような爽やかな笑顔で脱出計画を告げた。
「蔵馬はコエンマ様に頼まれたんだね……」
意識を失った瞬間の恐怖、そして意識を取り戻した後に
何度も薬をうたれ、覚醒と昏睡を繰り返した時間。
それが一気に思い起こされ、静かに身体をふるわせた。
あの瞬間、コエンマに助けてほしいと何度も願った。
妖怪から襲われたことは何度もあったけれど
誘拐なんて初めてだ。しかも得体の知れない薬をうたれ
意識がぼやけたり、時には完全に昏睡状態に陥り
逃げ出すどころか、自分の意思では動くことすらままならなかった。
150(189)
→|
back
彷徨いアリス