霊柩車に乗ったことはないけれど
中はいたって普通の乗用車と変わらなかった。

霊界に車があるのかと疑問に思ったので問えば
人間界で言うタクシーのように呼び出して使えるらしい。

「確かに逃げる手段考えてなかったです。
霊界から出るには来た時と同じように
コエンマ様を頼るしかないですよね」

逆に言えば、コエンマが救助にこなければ
どうにかあの屋敷から逃げ出せたとしても
一生霊界からは出られないことに気付いてゾッとした。

「私が誘拐されてから……どれくらい経っていますか?」

薬の影響でほとんど屋敷にいた時の記憶がないとつげれば
コエンマが苦い顔で怒りを押し殺すように拳を握りしめた。

このまま戻って殴りかかりにいきそうなほど殺気だっているので
慌てて少女も、今は平気だと告げれば自身を気遣う眼差しに気付いたのか
青年は静かに息をはき、握りしめた拳をゆっくりと解いて膝の上においた。

「本当に……今回は申し訳ない」

搾りだすような声、そして車内にもかかわらず
土下座しそうな勢いでコエンマは頭を下げた。

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彷徨いアリス