「俺はあとから行くので、先に行ってください!!」

コエンマは渋っていたが、運転席の男の方は耐えられなかったのか
不気味さのあまり、車を急発進させて逃げ出した。

後部座席が遠くに見えるまで見つめた後、すぐに拘束した相手に向き直る。
道化師の出で立ちの男は、ずっと飄々として余裕げな笑みを浮かべていた。

おどけるようにわざとらしく肩を大袈裟にすくめてみせ
こんなことをしても無駄だと笑う。

「お前の行動こそ俺には無駄に見えるな。
これで足止めをしたつもりなら、たいして効果がないんじゃないか」

ムチを強くひくが、男は苦しむ様子もなく笑い出した。

「面白い子ですネ♪ワタシの目的ならバ果たされたのデス♪」

動きを拘束されながらも、道化師はおもむろに笛を口元に寄せると
ピィーと高い音を奏でた。

それが合図かのように、森全体が揺れる。
ビリッとした空気のあと、蔵馬に直感が走った。
元盗賊の感。すぐに薔薇の拘束をといて少女とコエンマを乗せた車が
走っていた方向に視線を送る。

一瞬だった。遠くからでも分かるほどの爆発音が響いたのは。

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彷徨いアリス