音に遅れて、煙があがるのが見え息をのむ。
「おっと、行かせません★」
確実にタクシーの去っていった方角からあがる煙に
何かあったと察するも、道化師の男が行く手を阻む。
「ネ、ワタシは無駄ではありませんでした♪」
仮面の目元がぐにゃりとゆがみ、笑うように目を細める。
「なら……俺はお前を倒して向かうだけだ!!」
ローズウィップを構える蔵馬に、道化師の男は肩をすくめた。
「ワタシを倒す?――そんなコトしてもイイんデスか?」
笑っていた面が、無表情に戻った。
男が笛を吹く。今までよりも一番長く。
呼応するように、笛の音で森が揺れる。
なぜか頭に響くような奇妙な高い笛の音が不気味なメロディーを叶えれば
道化師の男がカウントダウンを始めた。
「3・2……おっと…」
爆風にのまれたのか、白いワンピースが所々焼けた少女が
銀製のシャベルに足を乗せ、宙を舞っていた。
「これはこれは……ずいぶん早い到着デス♪」
男が指を鳴らすと、ボーっと遠くを見つめていた少女の瞳が閉じられ
そのまま頭から真っ逆さまに落ちた。
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彷徨いアリス