「紅葉!!」
蔵馬が薔薇の鞭で引き寄せるよりも先に道化の男が抱きとめた。
抱きかかえる男の仮面は怪しく歪んでいる。
「フフフッ♪身体に残った毒が効いているのデス★」
「身体に残った毒……!?」
男の言葉に、蔵馬は少女の意識を混濁させるために使っていた幻覚剤に
こんな催眠的な効果があったのかと少女に意識を集中させながら冷静に分析する。
道化の男は蔵馬の考えていることを見通すかのように、毒は毒でも
あんな屋敷にあった毒ではないと笑った。
「1284年、聖ヨハネとパウロの記念日……
ワタシの笛の音に誘われた子供達よ♪」
道化師の男がマントを広げると、突風が吹き荒れた。
マントの奥から風にのり、子供の悲鳴が聴こえてくる。
「これは……子供の魂か!?」
目の前をおびただしい霊魂が駆け抜けると
蔵馬の体に、小さな手がしがみついた。身動きを拘束され、苦い顔で霊魂を払う。
その間にも目の前の男はマントの闇に飲まれるように小さくなっていく。
「まっ…まて!!」
「これで500番目の娘デス♪」
そう言い残すと、男は完全に蔵馬の目の前から消えた。
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彷徨いアリス