「これで洗脳は解けました。
もうすぐ意識も取り戻すでショウ★」
「そうか、なら今すぐ部屋からでろ。
お前と話しているところが見つかると面倒だからな」
青年が少女を抱き起こしベッドに運びながらも
警戒するように仮面の男から視線を外さない。
その様子に心外だと言わんばかりにまた大げさに肩をすくめた後
マントを広げ、そのマントの暗闇にスーッと男は吸い込まれていく。
「ソウだ、忘れてはいないでショーね?」
足元から飲まれ、後は顔だけというところで仮面の男が声をかけた。
その声は先ほどのおどけた様子とは違い、まるで感情のない平坦で低い声だった。
「ああ、忘れていない」
仮面の口元と目が楽しそうに歪む。
「よかったデス♪――必ず対価は頂きます★」
先ほどまでとは違い、弾んだ声で笑い出す男。
その不気味さに息を飲んだが、負けじと青年も最後まで男をにらみ続けた。
男はやがてマントの暗闇に吸い込まれるように笑い声を残しながら消えていった。
少女をベッドに寝かせ、自身もベッドのふちに腰掛けて大きく息をつく。
「もうすぐだ……もうすぐで完璧な人生が手に入る」
君には本当に悪いことをしたと小さく呟き、将来の伴侶となる少女の柔らかな額を撫でた。
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彷徨いアリス