「そうやって今の完璧に見える僕を作り続けて数年。
この瞬間を何度も夢に描いてきた!!

昔から人間界の話を聞いたり、本当は禁止だが
実は我が家には人間界の道具も入ってきていたんだ」

そこで初めて自分の知らない世界があることをロメオは知った。
自己中心的で、身勝手で、時には不可解な行動を起こす生身の人間。
その裏には度を越したお人よしとも思えるヒロイックな一面すら見せる。

「僕はその広さに、多様性に驚いたんだ。
そして、そこには無限の自由の可能性があることを知った時
初めて心から欲しいものが出来た!!」

熱に浮かされたような恍惚な笑みを浮かべる青年に
可哀そうだという気持ちもあったが、ぶっちゃけ怒りの方が強い。

「そんなバカげた理由で…」

「バカげてる?本当に?
――君は部屋の中だけを飛び続ける鳥の虚しさを知らないだろう?」

言いたいことは分かる、でもそれがまかり通るのは
何も知らない子供くらいだろう。

「私の両親は医者で、たくさんの患者を私も見聞きしてきた。
病室の壁に囲まれて一生を終える子供の虚しさを……考えたことはあるか!?」

それに比べて何て贅沢な悩みなんだと怒鳴れば、彼は分かっていないなとため息をはいた。

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彷徨いアリス