「それはそんな人生で生まれたその子が悪いだろう?
僕だって生まれや育ちを否定はしないさ。
だからこそ、こうして欲しいもののために動いているじゃないか」
根本的な考え方の違いからゾッとする。
ああ、この人には何も響かないんだろうと哀れみすら感じる。
強引で身勝手で、己の欲に忠実でそのためなら
どんな犠牲すらいとわないと言い切れる。
恵まれた人生も渇望された将来の期待すらも押しのけて
ただひたすら、自由を求めて飛び続ける強さ。
それは若さゆえの暴走と眩しさで、そしてそれが出来るのは
それを行えるほどの財力や体力、地位があるからなんだと実感すればするほど
彼の言動の虚しさ、儚さを思い知らされた。
彼は飛び続ける方にエネルギーを使いすぎて
客観的に自分のことを何も分かっていない。
そしてそれをいくら私や外野がもう十分だと言ったところで
彼の中でのゴールが決まっていないんだから
飛び立ったらもう止まることはできない。
「人間界に行きたいなら、私を巻き込まずに勝手にすればいい」
コエンマ様は認めないだろうがと呆れながら続ければ
彼はもっと手っ取り早く、確実な方法があると続けた。
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彷徨いアリス