「そんなの……」

覆いかぶさるように青年がベッドの上の少女に重なる。
右手を胸元から滑らせるように下腹部まで降ろし撫でながら
ロメオは待ちきれないと笑みを浮かべた。

「だから、早く君と結婚して……そしてすぐ子供を作ってもらうんじゃないか」

楽しみだね、どっちに似るんだろうかと楽しそうな声が頭に響く。
信じられない。血の気が引きながらその異常性に悲鳴すら出てこない。
ようやく絞りだした声に青年は撫でる手を止めてニッコリと人の好さそうな笑みを作った。

「僕との子供をもうければ、その子は人間界と霊界両方のパスポートを持つことになる。
それだけじゃなく、人間界在住の君と結婚した僕だってあちらへの移住権を獲得できるんだ」

「っ……でも、私と子供だけ人間界に帰られるとは…思わないの?」

「ああ……そのことなら大丈夫」

霊界の法律で、よほどの理由がない限りは子は親と引き離すことは出来ない。
だから安心して子供を作ろうねと笑う青年の声がだんだん遠くに聞こえる。

「いや…だ」

涙が流れ落ちるより先に、少女の体がベッドに沈んだ。

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彷徨いアリス