首謀者の青年だけでなく、新たな人物の登場に頭を抱えるが
こうしている間にも時間が過ぎていくと感じると歯がゆく
冷静で居なければならない立場なのに思わずコエンマは
叫びたくなりそうな苛立ちと焦りに包まれていた。

「レティシアちゃんと言ったかい?
――失礼だけど、君の兄の起こした事件について
何か知っていることはないか?」

蔵馬の端正な顔立ちに少し言葉を詰まらせた後
その奥で光った翡翠のような美しい瞳がまるで鋭いナイフのように冷たく
その冷たさに心臓まで捕まれるような恐怖を感じ、少女は慌てて口を開いた。

「あっお兄様は……人間界から来た紅葉と結婚すると言ってたわ。
それもほんの数日前で、アタシもパパもママも知らなかったのよ。
急に言われていつものパパとママなら怒ったり悩んだりするはずなのに
何も言わないで喜びはじめて……」

まるでおかしいのはアタシだけみたいとうつむけば
やはりかとコエンマと蔵馬は顔を見合わせ頷いた。

「恐らく、レティシア嬢のご両親も何らかの催眠にかかっているのだろう」

「それにしても、ここまで用意周到だとは……よほど前から人間界に行くことを
計画していたとしか思えないな」

「ありうるな。ここでは、ほとんど年も取らぬし姿も変わらぬからな」

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彷徨いアリス