「年を取らない?それに姿も変わらないとはどういうことですか?」

蔵馬はコエンマの言葉に引っかかりを覚え、レティシアに視線を移した。
ここで暮らしている家族もいるとレティシアを指せば
コエンマは静かに瞳をとじた後、極秘情報だがと前置きをした後
全てが疑似家族。擬似的な生活を営んでいるだけだと呟いた。

「ニセの家族だと言いたいんですか?」

なんでそんな面倒なことをと眉をひそめる蔵馬に
これも霊界の仕事だからだとコエンマは疲れ切った顔で薄く笑った。

「まず霊界と言うのは、次の生まれ変わりまでの通過点でしかないのだ。
もちろん、生前の行いに対しての罰を科すこともあるがの。
――生まれ変わるまでの間はどんな年齢にもなれるが、生前の姿でここで待機となる。
多くが生まれ変わりを待ち、通り過ぎていくが中には死後も
生まれ変わりを拒否するほど魂が損傷した者がおるのだ」

自分たちがニセの家族だと知って驚きを隠せないレティシアは
さらに出てきた魂の損傷というワードに疑問をあげると
君や兄上のような者を指すとコエンマは渋い顔で答えた。

「君や兄のロメオも資料を確認すれば重度の損傷が見られた。
互いに次の生まれ変わりに期待が持てず拒否をし、そのまま魂が朽ちるのを望んだ。
そのため霊界では、やむを得ずに生前の記憶を消した後に疑似的な幸福を味わってもらい
ある程度魂を癒やしたのちに自発的に転生を促すつもりだった」

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彷徨いアリス