「ところが、我が父が発案した貴族階級の制度が始まって以来
霊界の中でも身分や格差が生まれ始めてしまった。
もうとっくに魂も癒えて、転生してもおかしくないはずなのに
一向に転生する気配がない魂が増加しておる」
「そんな……アタシたちはずっとにせもので
アタシが幸せだったのも全てうそだったの?」
幼い頭で何とか受け止めようとするが、今まで歩んできた人生が
全て誰かがお膳立てしたものだということは信じられず
どう信じたらいいのか分からないとレティシアは涙をこらえながら黙り込んだ。
「もう強制的に魂を消すしかない……」
沈黙を破るようにコエンマが静かに呟いた。
その言葉にその場に居た一同全員が弾かれるように視線をあげる。
「消すって……」
「今回は確実に霊界の落ち度じゃ。本来ならもっと早くこうすることも出来た」
何年も霊界に居残り続けることこそがイレギュラーだったんじゃと
自分自身に言い聞かせるようなコエンマの言葉に誰もが反論できない中
まだ幼いレティシアですらここまでの兄の暴走を止められなかった負い目から
駄々をこねることなく、おとなしく口を閉ざしていた。
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彷徨いアリス