男はフッと静かに笑った。
その笑みは私を笑ったと言うよりも
返答に少し困ってどうしようという感じに見えた。

物語ストーリーのネタバレは嫌だろ?」

なんだそれと少しむくれたが、男は10年経てば分かると言っていたので
恐らく今後どこかで出会う人なんだろう。

しかし、こんな美丈夫びじょうふとどこで出会うのか私は。
そして何故なぜこんな美しい男性とベッドを共にしているのか。

「間違えて私がベッドに入ってきたとかでしたら
遠慮なく蹴飛けとばしてくれてよかったのに…」

申し訳なくて青い顔で伺えば、男は一瞬間を置いて
くつくつと笑い出した。

「っははっ……お前はっほんとにっ……ふっ」

男がゆっくりと肩に手を置いたのでどうしたのかと思えば
急に視界がぐるりと揺れた。

男の美しい顔がアップになる。
長い銀髪の髪の毛束がさらりと私の顔をカーテンのように
覆い被さって、視界が銀色で溢れた。

その銀色の世界の中で金色の瞳がキラキラと怪しく輝いている。

186(189)
back
彷徨いアリス