男はフッと静かに笑った。
その笑みは私を笑ったと言うよりも
返答に少し困ってどうしようという感じに見えた。
「物語のネタバレは嫌だろ?」
なんだそれと少しむくれたが、男は10年経てば分かると言っていたので
恐らく今後どこかで出会う人なんだろう。
しかし、こんな美丈夫とどこで出会うのか私は。
そして何故こんな美しい男性とベッドを共にしているのか。
「間違えて私がベッドに入ってきたとかでしたら
遠慮なく蹴飛ばしてくれてよかったのに…」
申し訳なくて青い顔で伺えば、男は一瞬間を置いて
くつくつと笑い出した。
「っははっ……お前はっほんとにっ……ふっ」
男がゆっくりと肩に手を置いたのでどうしたのかと思えば
急に視界がぐるりと揺れた。
男の美しい顔がアップになる。
長い銀髪の髪の毛束がさらりと私の顔をカーテンのように
覆い被さって、視界が銀色で溢れた。
その銀色の世界の中で金色の瞳がキラキラと怪しく輝いている。
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彷徨いアリス