「いいいっ今の私はあなたをしししっしらないのと
あっあっあと、今の私はだれともっつつつっ付き合ってないので!!」
ぐいと肩を押し返そうと押したが全然びくともしない。
しかし、近づけていた顔をあげたので少し安堵した。
「そうか……ならこれはどうだ?」
肩を押していた右手を奪うように握られ、手の甲に唇を落とす。
わざとらしくリップ音をさせて男は流し目だけで様子をうかがってきたので
声が出せずに真っ赤な顔で固まっているとただの挨拶のつもりだったがと
男はからかうように笑った。
「これは?」
横髪の束を一房とり、毛束に美しい唇が触れる。
その唇はまるで正解を探すように額、まぶたと順に巡っていく。
最後に指先が真っ赤な頬に負けないほど血色のよい少女の唇にふれた。
ふっくらとした感触を楽しむように、指先が小さくタップする。
「ここは……まだダメか?」
色気たっぷりの吐息混じりの声にうっと詰まりながら
どこか断りにくいずるさがあり、否定の意味で黙って視線をずらせば
そんな顔するなと男は少し困ったように笑った。
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彷徨いアリス