それに、帰りの途中でぼたんから聞いた話だとこの鏡は覗いた者の欲望を映し出し
その望みを叶えてくれるアイテムらしい。でも…それにしては少し引っかかる。

あの悲しげな瞳は私欲(しよく)に溺(おぼ)れたような感じではなかった。
ただ波のない海のような……穏やかだけどどこか悲しくて静かな何かを覚悟したような瞳。

少し思い詰めたような憂(うれ)いのある顔をイケメンがすると弱いんだよね私と
幽助に聞いてるのかよとツッコまれて慌ててスマホに意識をもどした。

「確か鏡って願い事の代わりに何か代償(だいしょう)が必要だったんだよね?
――もしかすると、3日のうちにそれが何かを探しあてる気なのかも」

少し考えすぎのような気もするが、短気そうな剛鬼ともう一人の確か飛影(ひえい)とか言う妖怪よりも
彼はどこか落ち着いて慎重さがうかがえる。あの中ではブレーン(頭脳派)なのかもしれない。
だからこそより警戒が必要だ。もちろん、相手の能力がまだ未知数なのもあるけどね。

『でもそれならわざわざ俺らの前に姿を見せる必要はねぇワケだろ?』

「そっか、そうだよね。――だとするとやっぱり3日待ってくれと伝えるためだけに
わざわざ律儀(りちぎ)にも私達の前に姿を出してもいいかと思うくらい舐(な)められてるか」

もしくは、本当に待って欲しいと伝えるためだけに攻撃されるかも知れない覚悟をもって私達の前に姿を出したのか。
前者であって欲しいなぁ。後者だとわざわざ敵に待ってくれと頼む理由が分からないから怖いもん。
どうしよう。とんでもない自暴自棄(じぼうじき)を起こし世界の滅亡とか願って
皆で無理心中させられたりしたら……頭が良いやつってたいていサイコパスとか聞くしね。

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彷徨いアリス