………
……
「暗黒鏡よ、月の光をうけ目覚めたまえ」
私も、幽助も止めることは出来なかった。
だって、蔵馬のお母さんが死にそうになっているのに
もし蔵馬に辞めろといえば、蔵馬のお母さんが死ぬことになる。
けれど、敵として会ったものの
ここまできて少し情がわいている蔵馬を見殺しにも出来ない。
どうにか彼もお母さんも死なない方法はないのか。
祈るような気持ちで儀式を見つめるしか出来ない自分が歯がゆかった。
「その面に我が望みを映し出す力を示したまえ」
すっすごい、なんてエネルギー!?
黒光りする稲妻のようなエネルギーが満月の力を浴びて天にあがっていく。
やがて鏡には蔵馬のお母さんの顔が浮かび上がる。
『この女の幸せな人生、それがお前の望みか?』
「そうだ」
鏡の中心で決意したように呟く蔵馬に、幽助が声を荒げる。
「おいっ――お前間違ってねぇか!?
彼女が助かったってお前が死んだらなんにもなんねぇーじゃねぇか!!」
幽助の言葉も分かる。私だってそう言ってやりたかった。
だけど、そうすれば蔵馬のお母さんの命を諦めろと言うことにもなる。
私は卑怯にもどちらも諦めろとは言えずに唇を噛みしめることしか出来なかった。
「っこれしか方法がないんだ!!」
鏡がまばゆい光を放った。
「それで彼女が助かるならば…」
『よし…では望みどおり願いを叶えてやろう』
44(189)
→|
back
彷徨いアリス