鏡からは稲光するエネルギーが放出され、彼の命を少しずつ削(けず)っていく。
苦しげだが、どこか決意を固めたような彼に私は思わず
小さな手をその鏡へと伸ばしていた。

「くっ…っあああ」

唇を固く結んで悲鳴をこらえようとしたが、あまりの痛みに悲鳴が漏(も)れる。
そんな私に続いて、幽助も大きな手の平をかざした。

「何をする!?」

「あっぐっ…かっがみっ…きいて!!」

痛すぎて大きな瞳が涙で溢れそう。
転んだ子供が泣かないように泣きべそをかいているような顔で
鏡に問いかけると鏡はなんだと声を返した。

あ、やばい……何て言うか全然考えてなかった。
痛みの中で、冷静に焦(あせ)る。やばっえーっえーと、どうしよう。
ただ時間を引きのばして、どうにか助かる方法しか考えてなかった。
痛すぎて押し殺したような悲鳴ばかりこぼす私に幽助が意を決して叫ぶ。

「――俺の命を分けてやる!!」

ハッと弾かれるように幽助を見ると、幽助は決意を固めたような顔で頷いた。
そっそうだ。そうすれば…。

「わっ私もっ…わける!!そうっすればっ…蔵馬も幽助も……助かるよね!?」
唇を噛みしめすぎて、血がにじんでいたが構わなかった。

「何を考えているんだ2人は!?」

蔵馬の制止に、泣きべそのままで、首をふった。

「いっ…いきてっ蔵馬。あなたがいないとっぐっ…お母さんは幸せになんかっ…なれない!!」

「ああっ!!息子が死んだ後の母親の泣き顔っアレは見られたもんじゃねぇぞ!!」

幽助……。死んで生き返ったいきさつを聞いた私の胸にも刺さる言葉だった。

「きっきいて鏡!!独りぶんのっいのちを…うっ…さっ三等分すれば全員っ助かる…でしょ!?」

確かめるように、けれど決意を込めた魂の叫びだった。
私達はまだ若い。3人とも死んでたまるか。

その時、一番まぶしい光があたりに飛び散ったかと思えば
そのすさまじいエネルギーに吹き飛ばされた。

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彷徨いアリス