「うん。あ、でも日本のゲームセンターは初めてって意味だよ」
アメリカに最近までいたことを話すと今度はあっちが驚いた顔をした。
「帰国子女なんだね。――それにしても日本語がうまいじゃないか」
「ああ、確かに5才からアメリカにいたわりにはってよく言われるよ」
でも日本語を忘れたくなくてめちゃくちゃ勉強したし
何よりアニメや漫画が私にとっては最高の教材だったなぁ。クールジャパンありがとう。
「日本の作品にはふれてたし、両親も日本人で家では日本語でやりとりしていたのと
さいわい日本人もチラホラ居た学校だったからね」
やば、なんか自慢ぽく聞こえたかなとチラッと蔵馬を見上げると
すごく楽しそうに相槌をうっているので少し居たたまれない気持ちになった。
たいした話題じゃないのに、興味をもってくれてありがとうと心の中で叫ぶ。
「そういえば蔵馬はどうしてここにいるの?」
ふと気付いた疑問をなげると、少し彼ははにかんだ。
「ゲームしに……ふっ、意外って顔してる」
指摘されてほっぺたをハッとつつんで、グニャグニャ曲げてもごもご言い訳をする。
「あっえっと、その…「いいよ」え?」
「優等生だと思っていたんだろ?――まぁ学校でもそんな感じだしね。
ただ時々息抜きというかさ……」
蔵馬が前のめりになって近づいてくる。
捕食される前のカエルみたいにうわずった声をあげると
彼はおもしろそうに瞳を細めながら、甘い声で囁いた。
「たまにはわるいこと、したくならない?」
ニヤッと笑った彼の影が私におちたおかげでどうか顔が赤いのが
バレないでくださいと神に願いつつ、私はただ静かに頷くしかできなかった。
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彷徨いアリス