「と、いうのは冗談だよ♪――ゲーセンが不良のたまり場なんてのは
80年代くらいの話じゃないか?今は小学生でもくるんだからさ」
サッと身体をひいて子供がイタズラを成功したような笑みをうかべる蔵馬が
手を出してと呟いたので、おずおずと両の手の平を差し出す。
「か…かつあげされても、何も出せないけど」
と若干震えつつも、手の平に感じた冷たさで我に返る。
「これ……あげる」
よく見れば小銭とも違う。メダルのようなものだった。
「俺もう帰るからさ」
「あっ、うん!!――ありがと蔵…秀一くん!!」
少年は少し目を細めて笑うと手をふった。
「あ、そうだ」
振り返る髪の鮮やかな赤に目を惹かれるも
何をいうのかと彼の翡翠玉のような瞳に視線をうつした。
「今日の格好…すごく可愛いね」
「…え」
彼は私の言葉もきかずに、言うだけいって帰って行った。
残された私は顔に熱があつまるのを振り払うように頭をふって
なんだったのかと固まっていたが、手の平でなったメダルの音で我に返って
目的だったゲームを楽しむことに切り替えることにした。
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彷徨いアリス