ゆっくりと、けれど淡々と呟いた。
視線をあわせるのは気まずくて、相変わらず視線はそらしたままだけど。
私は自分が殺すのも殺されるのもいやだ。
でもみすみす大切な人を傷つけそうなやつを近くにおいておけるほどお人好しじゃない。
桑原と少林を見やる。桑原はこちら側と考えてもよさそう。
乱童とやらの容姿は未だ不明らしいけど、幽助は桑原と面識がある。
なら……少林が怪しい。スッと瞳を細め、いつでも戦えるように準備を始めた。
ゆっくりと玄海にバレないように霊気を研ぎ澄ましていく。
「もしあの少林が乱童だとしたら……桑原くんの命が!!」
ぼたんの言葉に弾かれるように桑原に視線をうつす。
そうだ。奥義を会得するためには相手を倒し勝ち残る必要がある。
もし私が乱童ならば相手を生かして残しておくよりも、試合中の事故に見せかけて殺した方が
奥義を奪い、師範を殺して逃亡もしやすい。
知らせて対戦を放棄させるべきかと悩んでいるとすぐに幽助が駆け出した。
大声で揉めているが、言いくるめられ肩を落として戻ってくる。
上手くいかなかったみたいだね。――なら桑原さんが死なないようにこっちにも気を配らないと。
少林が乱童だった場合の警戒と桑原の命もどっちも怠ることはできなくて
ハラハラしながらとりあえず試合を見守るしかなかった。
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彷徨いアリス