桑原は案の定、飛び出た火には面食らいつつもどうにか避けていた。
しかも二回目には霊剣で打ち返す始末。――我ながらなんて適応能力が高い人だろう。
彼は霊感も高いだけじゃなく、結構センスもいい。
「バッティングセンターの120キロよりおそいぜ」
お腹をおさえて呻く少林に桑原は余裕だった。
「よけずに攻撃を打ち返すなんて……防御と攻撃を一体にする闘技能力…すばらしい!!」
分析できる知恵があるのなら、少林もここまでの実力差ならば試合を棄権すればいいのに。
このままでは少林の勝率は0……ん?
何やら少林が唱えだした。ブツブツとコチラまでは聞こえないが念仏のような
しかし、それでいてどこか不吉さを覚えるその唱えにゾクッと背筋に寒気が走る。
「ッ桑原さん……よく分からないけど気をつけて!!」
「どうした?あいつがブツブツ独り言を言い出しただけだぜ?」
「そうさね!!急に怖い顔して」
2人はこの異様さに気付いていない!?
なんかこう空間がねじ曲げられるような違和感。少林の可愛らしい唇から
まるで呪詛でも吐き出されるかのような聞くだけで第六感がやばいと告げているこの不吉な唱えが。
「紅葉も気付いたかい?――あの呪術…そして火掌発破拳もそうじゃ」
ゴクリと生唾をのみこむ。
幻海いわく、どちらも名のある呪詛師と武闘家がいたらしく……少林の出した技はどれも
その2人が自分の半生をかけて作り上げた秘技だと言う。
「じゃあ少林はその2人の弟子だったということ?」
でも違和感がある。いくら血の毛が多く、強くなりたいと願うにしても
呪術と武術は似て非なる強さだ。どちらの弟子になれたとしてもよほどの才能と年月そして努力じゃなければ
どちらの奥義も修得どころか、余計に中途半端な状態で終わりかけねないのに。
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彷徨いアリス