しかし少林は一向に手を離さない。それどころか桑原の体を手の平でグッと締め上げ始めた。
小枝を折るような音が聞こえる。恐らく骨が何本か折れている音。
「早くはなしっ…幽助!!」
駆け出そうとした私を制止して幽助が先に少林に駆け寄った。
少林はそれを焦ることなく、ニンマリと不気味な笑みを返すと同時に
手の平サイズの桑原を思い切り放り投げ、またブツブツ唱えた。
小さかった桑原が元のサイズに戻り、草むらに投げ出されている。
私とぼたん、そして幽助は少林に背を向け慌てて近づくと
かなりの重症のようだったが、命には別状はなさそうだった。
しかし、曲がった腕とあの骨が立て続けに折れる音、何より試合が終わったにもかかわらず
いたぶり続けたアイツは許せない。
案の定、桑原と私よりも長い付き合いの幽助は怒り心頭しながら少林……いや、乱童に勝負を挑んだ。
こうして形だけではまだ少林と幽助の最終試合が行われる。
「ぼたんさん。心霊医術できますよね?――どうか桑原さんを…」
「あっ!!そうさね!!分かったよ。――紅葉ちゃんは幽助に何かあったらおねがいね!!」
ホントは私が心霊医術をしてあげたいけど、そうなると残されるのが幻海とぼたんだけになる。
もし万が一幽助に何かあった場合、幻海はともかく戦う術をもたないぼたんは危ない。
この試合が終わり、幽助が無事だったらすぐに私も治癒に協力しようと決心しつつ試合を見守った。
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彷徨いアリス