「師範、もう決着はついたよ。
一刻も早く桑原さんを治療しないと…」

なぜか全然幽助の勝利を宣言しない玄海に苛立ちつつも
桑原を治療しようと駆け寄ると、幽助だけ戻るようにうながされた。

「勝負はまだじゃぞ……」

「ちょっ…幻海おばあちゃん!!少林はもう倒してるよ」

抗議するように声をあげれば、静かに少林はなと否定された。

少林はって……あっ!!

「幽助…玄海師範の言う通りだよ。――早く戻った方がいい」

幽助は傷だらけのままキョトンとあどけない少年の顔で振り返った。
顔には疲れと何を言っているんだと言う呆れが残っている。

「はぁ?見て分かるだろ?俺の勝ちできまり…」

「相手が乱童ならば…ここからが始まりじゃろが!!」

まだ状況を飲み込めていない幽助に幻海が強く声を荒げた。
一瞬呆気にとられたが、すぐに彼と視線があったので私も念をおしてうなずく。

「幽助……今回の目的は乱童だよ。――倒した少林は準備運動にすぎない」

グッと唇をかみしめる。少林でぬか喜びしていた私が恥ずかしかった。
ぼたんはまだオロオロしながら幻海と私達を見つめ、しかし癒す手はとめない。
それを横目で確認して、小さく呼吸をととのえるように息をはく。

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彷徨いアリス