幽助が初手でパンチをくりだす。
しかし、乱童は打たれたまま反撃もせず動こうともしない。

shit(くそっ)、幽助はもう霊力が残っていない……。

あのパンチは確かに人間ならば効いただろう。
けれど相手は妖怪。ただの物理攻撃が効くなら数々の霊能力もある武闘家が倒されはしない。

「今度はこっちから攻めさせてもらうぜ」

一気に妖気を練り上げたかと思えば……なんと妖気で糸を作り出した。
私の霊力の糸よりもずっと丈夫そうだ。

ぼたんも幽助も驚いていた。二人の言動だとどうやら私と同じ糸使いだと勘違いしているらしかった。

「ほぉ。そこのお嬢さんも糸が使えるのか……」

目がギラッと光った。まるで子供がおもちゃを見比べるような瞳。

「はっ…お前ほど強くはないけど多少はね」

補足するように、玄海が乱童の場合は体内で作り出すと説明した。
しかも今まで幽助よりは幼少期だが妖怪に出会って来た私でも
今まで糸を体内で生成する妖怪になんか出会った事は無い。

ってことは珍しいタイプ。こういう糸使いは私は例外だけど器用タイプが多い。
実際に糸や紐を用いた武術というのも世界には存在する。
糸は投げてよし、まきつけてよしと万能なだけでなく相手を殺すこともできる。

私の場合は指先、いわば霊力を生み出す供給源からそのまま糸を伸ばして使用するが
彼は体内で糸を作り上げた後、ぷつッと糸を切り離しそれを自由自在に形を変えながら使用している。
あっちの方がより高度なのは確かだ。悔しいけどね。

乱童は作り出した糸で幽助を一気にからめとった。
糸は太いたばになり、やがて一本の綿状に変わる。それが幽助をしめあげはじめた。

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彷徨いアリス