微かな耳打ちで我に返る。
聞きなれた声にハッとし、声がでない代わりに
ぎゅっと閉じていた瞼をあけて、視線だけで問いかけた。
「はい。トマでございます」
よかったぁ!!頭の中で今エンダーってホイットニーヒュー○トン流れたよね。
最大のピンチを救ってくれたのは相棒だと勝手に思い込んでいたピーマン(神田)ではなく
ファインダーのトマでした。(某お茶のCM風)
顔にどうやって潜入できたんだと書いてあったのか
少し無言の後、気恥ずかしそうに男が
元来、影が薄い者なので……と頭をかいた。
トマの言葉によると、どうやら私たちが教団に乗り込むと聞いていた時点で
自身も何かあった時のために潜入の
手筈を整えていたらしい。
案の定、なかなか戻ってこないので潜入してみれば今まさに怪しい儀式の真っ最中。
「間に合ってよかったです。――梓様はご無事ですか?」
身体がまだ動かないので瞬きと表情だけで大丈夫と伝えると
安心したように男が薄く笑った。
「どうやらそのご様子ですと何かしらの薬を接種したようですね。
――しばしお待ちください。確か解毒薬があったような」
人気のない小部屋まで運ばれ、申し訳ございませぬと床に寝転がせられる。
すぐにトマは持参した袋をあさり、やがて1つの薬瓶を取り出した。
112(118)
→|
back
彷徨いアリス