「そうだよ!!流石、紳士は違うね!!」

「ありがとうございます……。本当はあなたの言うとおり、僕も……いや、僕たちも出来れば悪魔を倒(たお)したくはないんですよ。
ただ、悪魔はほかの……あなたのような一般人まで傷つけてしまう。それによってまた新たな悲劇が繰り返される」

儚(はかな)げにどこか遠くを見つめるように細めた瞳。私の方がおそらく年上だと思うけれど、この子の言葉の方がどこか重みがあった。

「あなたは、大切な人達が傷つくのを黙(だま)って見過ごしていられますか?」

優しいながらも、どこか悲しげな問いかけに私は俯(うつむ)いてしまうだけ。

こんなん言われたら、ムキになることも……泣くこともできないじゃない。
一瞬、いたたまれずに言葉を濁(にご)していた私はふと思い出したように叫んだ。


「――つか……どうなってんのこの世界は!?」

私は確か昨日ふつーに学校から家に帰ってきて……んで昨日の残りのご飯をチンして食べようとしたらワックスしたばっかの床に滑(ふりがな)って
テレビの角(かど)に頭ぶつけただけなのに!!!!(もうこの段階でヤバいと思うけど…)

ぐるりと見渡す視界は少年と青年と森だけなんだけど、これが日本にあるような森って感じじゃなくてまるでヨーロッパの森って感じなのよ。

しかも、頭を打った後に急にここって……状況が私じゃなくても理解できない。
きっとアインシュタインせんせーでも理解不能な事態だ。

日本とは違った洋風な景色に目を細めながらパニックでパンク寸前な頭をどうにか動かそうと試みるが
流石(さすが)に私の対応能力の高さでも、いきなりこんな世界に…しかもましてや身一つで帰る宛(あ)てすらないなんてどうしようと狼狽(うろた)える。
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彷徨いアリス