いつもは仏頂面(ぶっちょうづら)の神田も目を見張って見つめる。

えっ・・・私・・・・・・もしかして、引かれてる!?ドン引きされてる!!
いつもの自分の痛い発言を棚(たな)にあげ、悲劇のヒロインぶってハンカチを噛(か)みしめる。


「そう・・・ですか。」

アレンも少々納得(なっとく)の行かない様な顔で・・・そして若干(じゃっかん)疑い深い目で見つめてきた。

ああ……その視線が痛いよ!!私まで髪の毛白くなりそうだからやめて☆


「うーん。まぁ・・・信じなくてもいいんだけど・・・・・・。私もさ、家に帰りたいんだよ!!マジここドコって話なわけ!!」

ああ・・・何か必死にペラペラと口から言葉があふれてくる。
とりあえず、私の表情を探っていたアレンも、私のただならぬ表情から嘘(うそ)では無い事を分かってくれたのか
それともキチガイに付き合ってられないと踏(ふ)んだのか、困ったような笑みを浮かべながらも最終的には納得してくれた。

まぁ、二人も疲れてたし……受け流された部分も大きいけど。


その時だった。ドアがギィッと不気味に開く音がしてビクッとして振り返ると、怖いぐらいの無表情であの宿屋の男がそろそろ寝ますのでとだけ告げに来た。

早いなおっさん、夜はまだこれからだぜ!!という言葉を飲み込んで頷く。
確かにここの宿はおじさんだけで営(いとな)んでいるようで、そろそろ自分も寝るので何かあれば朝まで待つか、緊急時(きんきゅうじ)だけ起こしに来てくださいと告げて戻って行った。

室内に沈黙(ちんもく)が流れる。ぱちぱちと暖炉の火だけが小さくはねている。

はー……こんな不気味な宿で寝るのかー。まだ正直納得いかない。むしろ、どんどん野宿(のじゅく)の方が良さげに見えて来たわコレ。何か、いろいろ聞きなれない虫の鳴き声とか聞こえてきて、身震(みぶる)いする。

何か、修学旅行で泊まったメッサ対応悪くて不気味だったホテルを思い出しながら……小さく、幽霊とか出ないよなぁ・・・と呟(つぶや)くと隣に寝転がっていたアレンもビクッと反応した。

ほほう、こやつ……お化けが苦手か。よっしゃメモった。何かあったら報復にこのネタを使おう。
実は自分もだいぶヘタレなことを棚に上げつつ、ニヤリと悪い笑みを浮かべる私。

私もゆっくりと、横になる。神田だけは壁に背中を預けながら臆病(おくびょう)な二人を笑った。

「ハッ。こんな場所じゃあ・・・何か出てもおかしくないだろうが・・・」

何かって何ぃ!?隣のアレンを見るとかわいそうな程震えている。
っつか、震えすぎてもう残像(ざんぞう)しか見えないんだけど!?

あんなワンコ(悪魔)達よりも恐ろしいモノがこの世にあってたまるか……と思いながら疲労(ひろう)からか、すぐに眠(ねむ)りに落ちた。
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彷徨いアリス