………

「で、なんで神田はその綺麗なお顔に手形つけて帰ってきてんの?」

私がちょうど朝食を食べ終えた直後、タイミングよく二人は宿に戻ってきた。
入ってきてそうそう仏頂面の神田の頬に赤く、まるで誰かに強く平手打ちをくらったかのような
手形があったので私は腹を抱えて遠慮なく爆笑した。

――それはもう腹がよじれるほど笑い、彼が苦い顔をするたびに
その間抜けな感じと相まって余計に笑えた。

神田の後に続いて入ってきたアレンも苦笑して続ける。

「それが、聞き込みをした婦人にきつい言葉をかけてしまって
ちょっと怒らせてしまったんですよね」

「やったね。やっちゃったねピーマン(神田)よ。――傷心の女性のハートを君の手で切り裂いて〜♪しちゃったんだ」
さっきの失礼すぎるほどの爆笑を棚にあげ、神田を批判する梓。
後半は某錬金術師のOPを口ずさんでおちょくるのも忘れない。

「僕もいくら神田がこの村の土地勘があるからってつれていくべきじゃなかった」

今回は珍しく同調して神田を批判するアレン。
その間も後ろで梓は真顔で神田〜がいじめた〜♪老人いじめた〜♪とお経を唱えるような口調でおちょくる。

2人から責められ黙っていた神田もそのおちょくりに、次第に怒りに震えながら赤面させて語気を荒げた。

「チッ――知るかよ!!だいたい人が死にたてのとこに行ってスケッチするのが気味悪いぜ」

苦々しそうに吐き捨てると便所と言って、いたたまれなくなったのか神田は乱暴に部屋を後にした。
その後ろ姿に小さく言い過ぎたかなとため息をつくアレン。
少女も流石にやりすぎたかなーと反省して、気分を入れ替えるようにアレンに問いかける。
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彷徨いアリス