「照れないで早く出ておいでよ」
ということで思い切ってネット声劇で鍛えた男声で結構女子に大人気だったとろけるような甘い言葉をはいてみた。
うん。我ながらキモいね。だから外でやんなかったのエライデショ♪

「はぁ…タイミングが悪かったのかなんもな「……嫌い」―え?」

自分の呟きを遮るかのように聞こえた女の声にビクッとするも、私以外の女なんていない。
まさかと水面を覗くと、ぶくぶくと泡が立ち中から勢いよく青白い腕が私の足首を掴んできた。

「ぎゃああああっで出たぁああ!?」

アレン達を慌ててヘルプ、今こそヘルプだと慌てて振り返るも奴らなんか話し込んで……というか揉めてないかアレ?
とにかく二人でキャッキャうふふしててこっちを一秒も見ようとしてない!!

「あああっタンマ!!じゃないっえーっとシットダウン!!あれ?えーハウス!!ちょっとなんできかない…あっこれ犬か!!」

パニックになりすぎてアレン達とも普通に会話していたことを忘れて
なんとか英語をひねり出そうと頭を回転させるも、女は赤毛を水面に浮かべ目だけでジトッとこちらを睨み付け
爪が伸び、藻が絡まったような長い指先はギリリッと私の赤ちゃんよりもやわやわな足首を掴んで離さない。

「ああああああっストップ!!す・と・っ・ぷ!!」

やっとアレン達が私の絶叫に気づき、慌てて走りよってくる。
それをブンブンと足首を振りながら身体をひねりまくった視界の端で捉えた時にはもう遅かった。
もう一つの腕が水面から出てきたかと思うと、あっという間に私を冷たい湖の中に引きずり込んだ。
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彷徨いアリス