湖に引きずり込まれ、アレン達の絶叫が後ろの方でぼやけたように響くのを聞きながら
私は恐怖でつぶった瞳をなんとか足首を掴んだ腕を引き剥がさなきゃとパニックになりながら開いた。
肌を伝わる水温は最初は冷たく、だが妙なことにどんどんと奥に引き込まれていくにつれ妙な暖かさを覚える。
しかも奥で何かが光るのが見えたかと思えば、まるでマリンスノーのように夜空の光を閉じ込めたかのごとくきらめきが
私の身体をいっせいに包み込んだ。
私はその温かさに包まれて、故郷に帰りたかったこととかこのまま死ぬなんてあんまりだとか考えながら意識を失った。
………
……
次に目が覚めると、私は暖かな部屋の中で編み物をしていた。
あれ、なんでここに?まさか死んですぐにどっかに飛ばされたか流行りの転生したのかとだいぶ興奮していると
肩に触れたぬくもりに我に返る。
「アンナ。何を編んでいるんだい?」
優しそうな男性の声。振り返った私はなぜか笑顔を作っていた。
しかも唇からこぼれる言葉は、私だけど私では無い。
「マフラーを編んでるの。もうすぐ寒くなりそうだから」
照れたように男にはにかむ鈴の鳴るような美しい声。
ちょっちょっと待って、私いま私じゃない?これがあの前前前世か?とか思わず君の名はとか
心の中で叫びながら、男と女の会話を黙って聞き続けるしかない私。
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彷徨いアリス