「でも、なんだかまるで彼が遠くに行ってしまうような気がしたの」
アンナの心のざわめき、不安が私にも伝わってくる。
一言で表すならとても切ない気持ちに近い。私にはどうすることも出来ない。
彼が無事で戻ってくることを願うくらいしか自分には出来ない無力さがこみ上げてくる。
「アルマン、愛した人……どうか無事に帰ってきて」
涙でかすむ視界の中、ハッキリとした意識の私はおいおいと猛烈につっこんだ。
なぜならこの人、フラグ立てまくりだからだ。
戦争映画でも故郷の恋人や家族の写真なんか見せて生きて帰るなんて言えば確実に死ぬルートに繋がるぞ。
お願いします神様。今目の前で見ているアンナさんとアルマンさんが良い結末を迎えさせて下さい。
じゃないと死ぬ前の夢にしては本当に後味が悪すぎて死んでも死にきれない。
私のフラグ読みが当たったのか、次に瞬きをした時には冷たい墓標と言うには簡素な木の枝を結んだ十字架だけの墓が目に飛び込んだ。
周りにも似たような墓が多数並んでいる。そのどれもが比較的新しいところからここは最近一斉に作られたことが分かった。
思い出したのは、森の奥に消えていった男達の列。
城の警備で何かあったのかと苦い気持ちになる。
ウソでしょ。最悪じゃんと思ったのもつかの間――案の定泣き崩れるアンナさん。
どうやらアルマンは二ヶ月の期間を過ぎても帰ってこず、便りを送っても返事がないので
流行病にでもかかって死んでしまったのではと嘆いていた。
47(118)
→|
back
彷徨いアリス