気まずい話だが、こういうことも聞けてよかったなとどこかで思っている私がいた。
なんだろうな、エクソシストになるとここでは尊敬の眼差しで見られるし
教団内どこに居ても世界を救う救世主みたいに褒めはやされて……そこだけ聞いてればかっこいいけど
でも、実際はそんなんじゃなくて……ただ"たまたま適合した昨日まで一般人"に過ぎないんだ。
そんな人に神への忠誠だとか、エクソシストとしての使命や誇りを背負わせるなんて
都合がよすぎるよね。――だからこそファインダーや化学班だって
私達を崇めることにより、使命感を与えようとしているのかも知れないし
そうやってエクソシストは偉大だって自分に暗示のように言い聞かせることにより
本当はイノセンスがたまたま適合し、それなりに訓練を受けただけの
自分とあまり変わらない"人間"であることを考えないようにしているのかも。
「梓は初めてイノセンスを発動した時どんな気持ちだった?」
ふとリナリーに問いかけられて、あの時のことを思い出す。
あの時は……とにかく湖の底の女性が可哀想で仕方が無かったことと
どうにか助かりたい一心でイノセンスに力を貸して欲しいと願ったと説明した。
そうと穏やかに少女は微笑んだ。
その気持ちをもう一度イノセンスとシンクロさせて欲しいとつげる。
「シンクロ率あげてーって願えばOK?」
「そっそれはストレートすぎるけど……うーん。
助けてくれてありがとうって気持ちとか、あとはイノセンスが必要と思う気持ちが
大切なんじゃないかしら?」
原型にしたイノセンスを私の手にへブラスカが近づけた。
おずおずと手を伸ばす。
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彷徨いアリス