要塞の街
「ここが……テオスディオ……」
列車の停留場から馬で一時間かからない程度の場所に街はあった。
トマの説明どおり、街ごと見上げるような高く頑丈な石壁に囲まれている。
「まるで要塞だ」
ポツリと呟いた言葉が、意外にも神田にも聴こえていたのか
珍しく同意するように頷いた。
「気味がわりぃ」
街の人に聞かれたらどうするんだと言うくらいに
潔く吐き捨てる神田に、呆れつつも羨ましかった。
街にくるまでにいくつかの民家も確認しており
子供や若者達は街に向かう私たちを少しだけ興味があるのか
こっそりと民家の影などからのぞいていた。
「やっぱ東洋人が二人だと目立つかなぁ」
先ほどの視線を思い出しながら、関所で街へと出入りする人々の列に並ぶ間
暇だったので近くのトマに尋ねれば、そうですねと少し苦笑された。
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彷徨いアリス