とがらせた唇でしぼりだすように、わかってるとだけ呟くのが
子供でもない、けれど大人にはまだ早い私にとっては
精一杯の背伸びだった。

トマはそんな青年と少女を見つめながら静かにため息をついた。

「お二人があまりにも美形すぎるのも目を引いてるんですけどね」

呟いた言葉はいつものように気まずい空気感を出す二人に
もちろん届くことはない。

………
……

街へ入った後は多少はジロジロと見られたものの
黒づくめで重たい黒の教団のコートを堂々と着ている神田と
行商にしては身軽すぎる露出の多いミニスカートの少女は
誰もが東洋からやってきた旅芸人か何かだと勘違いしたようだった。

思っていたよりも迫害を受けることもなく
教団が指定した宿泊所に到着したので安心して荷造りを解く。
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彷徨いアリス