気のせい?――あらやだ、もう……この年でボケたかしら?

少し不気味に思うが、無視(むし)して進もうとした時だった。

急にスマホのライトが誰かの足元を照らしだす。
私がチビなので、だいぶ低い位置を照らすライトの見える範囲では顔が見えなかった。

ゆっくりと失礼だけどライトをあげると、綺麗な顔をした紫色の髪を上でまとめた少年が立っていた。
彼が怪しくクスリとほほ笑む。よく見るとオッドアイな事から純日本人(じゅんにほんじん)ではなさそうだけど……。
彼と目があい、彼はまたニコリと笑って見せた。

あ、何かこの笑顔は今朝アルマゲドン投下した奴(やつ)と同類な気がするわ。

慌てて、喉元(のどもと)まであがってた素敵なパイナポーヘアーですね……という言葉を飲み込んだ私。
変わりに喉から搾り出た言葉は無難(ぶなん)な挨拶。――だが、それすらも正解か分からない。
しかし、少なくとも……この方が良いと勘(かん)はつげてる。そう、ヘタレ(弱者)の勘は伊達(だて)じゃない。


相変わらず人のよさそうな笑みを崩(くず)さない少年。――けれど、何故かその笑みはとても冷たい。
顔に張り付けたような不気味な笑みだった。瞳(ひとみ)が怪しく輝いて見える。
伊達に雲雀さんを交(か)わしていたわけではない。私の中の勘がこの人を危険とみなしている。

思わず、じりじりと後ろにすり足でバレないように少しずつ下がりながら……どうやって切り抜けようか模索(もさく)した。
学校に忘れ物作戦……も、この時間なら明日いけば?と言われたら、お終(しま)いだ。

うう……来た道引き返し作戦が思いつきそうにない。


でっでも、そうだよね?――きっと、ちょっと笑顔が苦手なだけの
一般ピーポーかも知れないし、普通に通り過ぎても良いよね?

うん、その方が無難っていうか……勘だけでこんな決めつけるなんて良くないよね……?



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彷徨いアリス