その頃、ヴァリアー邸。

「お呼びかボス!!」

勢いよくドアをあけたスクアーロを、ただ座ったまま静かに見上げる男。

「ハーフボンゴレリングの褒美ほうびをくれるってんなら、ありがたく頂戴ちょうだいするぜ!!」

しかし男の返事はなく、それどころかスクアーロの頭を机に叩きつけた。
それを理不尽りふじんだとばかりにキレるスクアーロを制止する。

「フェイクだ」

ハーフボンゴレリングを指だけで砕く男に、スクアーロが自身が持ち帰ったものがニセモノだったことに唖然あぜんとする。

「日本へ発つ。そして、奴らを根やしにする」

立ち上がりながら静かにつげると、男はなお続けた。

「それから、例の守護者が見つかった」
「はぁ?例の?」

「世界の守護者だ」

「そっ、そんなのありえねぇ!!」
「…ボンゴレ側が接触せっしょくに成功したと報告があった。――俺が先に手に入れる」

「手に入れるって、本気でどこのウマの骨かも分からねぇ女を」
「これ以上何か言いたいか?」

ギロっと殺気だった視線に絡まれて、スクアーロはしぶしぶ黙った。

「――こいつだ」

手渡された写真は恐らく違法に入手したような防犯カメラを引き伸ばしたようなあらめの画像。
それでも、戸惑いがちにオドオドとうつる少女にスクアーロは見覚えがある。

「こいつはっ」
ニヤリと笑ったスクアーロに、男は静かに瞳を細めた。
怪しげに響く雷鳴。物騒ぶっそうな計画が水面下すいめんかで着実に進んでいくのを少女はまだ知らなかった。



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彷徨いアリス