「じゃあ、了平さんは負けると思う…?」

探るようなツナの言葉に、うーんとうなった後
むずかしい試合になると呟いた。

「ボクシングだとローのキックとかで下半身を攻撃されたら厳しいんじゃないかな。
拳で打つボクシングは下半身でしっかりと支えてから上半身の機動力が大事になってくる。
それが土台となる下半身が揺らげば、上半身の支えもなくなって
機動力だけじゃなくて、威力いりょくも落ちかねないし下手したらダウン」

「マジかよ、それじゃあ相手の方が有利ってことか」

悔しそうに呟く山本に慌てて首をふった。

「っ――相手のムエタイだって万能じゃないよ!!
もし足技が封じられて顔を集中的に殴られれば確実に脳しんとうでダウンせざるおえない。
顔だけは人間の身体で鍛えることが出来ないから。

私がもしあの場に立つなら、ボクシングやムエタイなんていう
形式的な格闘技にこだわらずに、上半身はボクシングのかまえで
下はキックボクシングの要領でいったほうが確実に勝てると思う。
ボクシングやムエタイだってその一個のジャンルとしての格闘技として
確立されているからこその縛りがあるからさ。

例えば今回は運良くさほどお互いの体格差がない組み合わせになってるけど
これが試合以外の野良の不良同士の喧嘩だったら悲惨ひさんな組み合わせになってたかも」

そこは神様に感謝。



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彷徨いアリス