「クフフ……クローム、その子は起きたようですね?」

急に、視界の反対側から現れたあの時の少年に驚く。
お前も存在(そんざい)を消して俺(おれ)の後ろから出てくるんじゃねぇよ……って言ってやりたいぜ。


クローム髑髏(どくろ)ちゃん、という可愛い顔してやけに中二ってる名前の少女も
一瞬驚(おどろ)いたものの、すぐに安堵の笑みを浮かべた。


「はい……。骸(むくろ)さま」

……骸様ね、この子のネーミングもだいぶイカれてる。
いや……堂々と誘拐まがいな事が出来る時点で少しおかしいけど……。
今の親ってかなり大胆な名前をつけるのね。(そして、細い身体で誘拐って重かっただろうに……ご愁傷(しゅうしょう)さまです)

それにしても……この二人って年も確か同じくらいだったはずなのに
様付けの関係って……どんだけこじらせているんだろう。
巷(ちまた)のバカップルの彼ぴっぴと、かのぴっぴの進化形……?(しかも、髪形や服装も何となくペアルックっぽいし)


現実逃避(とうひ)はおいといて……とりあえず、鎖を睨(にら)みつけ、身をよじって小さくうめいてみる。
流石(さすが)に同年代とは言え少年(特にまだ主犯(しゅはん)と確定(かくてい)してないわけでもあるしね)を睨むわけにもいかず
困ったように眉を下げながら、私は離(はな)してくれるようにお願いしてみた。

「えっと……骸さんだっけ?――ちょっと、この鎖を外(はず)してもらいたいなーっておも「無理です」っ……ですよねー」

ほぼ同年代なのに、思わず素敵な笑顔の気迫(きはく)に負けて心の中で血の涙を流す。
いや、実際に泣きたい気分だったんだけど……涙より出るのは脂汗(あぶらあせ)だけで………。
――こういう所も囚(とら)われのヒロインにはなれないと痛感する。

「えーっと、じゃあ……百歩譲(ゆず)って鎖を解(と)かなくても良いんだけど
何で私がここに居るかだけは説明聞いてもいいですか?」



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彷徨いアリス