大空のリングが奪われた私達はこれ以上負けられないと
緊張の糸が張り詰めたまま、明晩みょうばんの試合にのぞんだ。

「獄寺…おそいね」

心配だとつぶやく私を安心させるようにツナが笑う。
大丈夫だと。――いつもの私ならそんな子供だましな言葉に
余計に冷めてしまうが、ツナの言葉には妙な説得力があった。

本当にこの少年がいてくれたら、彼が大丈夫だから
全部任せろと言ってくれれば安心してしまうような。

大空のように包み込んでくれるような人。
一方の敵側のザンザスはどちらかというと、全てを飲み込んでしまいそうな圧を感じる。

一時でも守られて笑顔でいれればいいか……。
それとも、闇に飲み込まれても仲間を救えるならそれでいいのか。

ボロボロになったランボ君のことを思い出しギュッと拳をにぎる。
あの後からどこかで覚悟を決めなければと思っていた。
相手は子供にも容赦ようしゃしない。――なら私だっていつまでも弱気じゃダメだ。
仲間を助けるためには、商品という立場を悪用してでも……。

これ以上、仲間が傷つくなら死んでやるとおどしてでも
相手をとめなければ……。本当に死ぬ勇気なんてないし
こんな脅し文句を聞いてくれずに、仲間を殺してでも奪われればおしまいだけど。
でも、ランボ君が……私のために何も知らないあんな子供まで傷ついたんだ。
私だって何かを犠牲ぎせいにしなければ……。



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彷徨いアリス