獄寺はギリギリのタイミングで来たのを確認し
皆が安堵あんどの声をあげた。

彼と視線があうと、昨日と同じように強気な笑みを浮かべてみせる。
そんな姿に私ももう一度昨日と同じようにトコトコ歩み寄ると
無理しないでとつげた。――泣きそうな顔をしないように頑張ったが
一瞬だけ見せた彼の優しい笑顔に気をつかわせてしまったなと後悔した。

「ああ。勝ってくるぜ」

「ハッ。バカかテメェは?」

はじかれるように振り返れば、すでにヴァリアー側も待機している状態だった。
獄寺の相手となる……確かベルと呼ばれていた少年もクスクス笑っている。

「逃げ出したかと思ったぜ」

「っなんだと!!」

「シシシッ」

不気味な笑みをうかべ、少年が一歩ずつ近づいてくる。
一番後ろにいた私との方が一番距離が近くてヒッと息をのむと
数歩きて立ち止まり、ゆっくりと指をあげた。

「全部…王子がもらうから♪」

はずむような声、指さす先には私。
指輪だけじゃなく、私まで奪うと挑発的な宣言に仲間も苛立いらだちの声をあげた。

「…美緒は物じゃない!!俺たちの仲間で友達だ!!」

恐怖で固まっていた私の心を溶かすような言葉にハッと我に返る。
ツナがおびえながらもそれでもまっすぐ相手を見えて渡さないと叫ぶ。



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彷徨いアリス