獄寺はギリギリのタイミングで来たのを確認し
皆が安堵(あんど)の声をあげた。

彼と視線があうと、昨日と同じように強気な笑みを浮かべてみせる。
そんな姿に私ももう一度昨日と同じようにトコトコ歩み寄ると
無理しないでとつげた。――泣きそうな顔をしないように頑張ったが
一瞬だけ見せた彼の優しい笑顔に気を遣(つか)わせてしまったなと後悔した。

「ああ。勝ってくるぜ」

「ハッ。バカかテメェは?」

弾(はじ)かれるように振り返れば、すでにヴァリアー側も待機している状態だった。
獄寺の相手となる……確かベルと呼ばれていた少年もクスクス笑っている。

「逃げ出したかと思ったぜ」

「っなんだと!!」

「シシシッ」

不気味な笑みをうかべ、少年が一歩ずつ近づいてくる。
一番後ろにいた私との方が一番距離が近くてヒッと息をのむと
数歩きて立ち止まり、ゆっくりと指をあげた。

「全部…王子がもらうから♪」

弾(はず)むような声、指さす先には私。
指輪だけじゃなく、私まで奪うと挑発的な宣言に仲間も苛立(いらだ)ちの声をあげた。

「…美緒は物じゃない!!俺たちの仲間で友達だ!!」

恐怖で固まっていた私の心を溶かすような言葉にハッと我に返る。
ツナが怯(おび)えながらもそれでもまっすぐ相手を見据(す)えて渡さないと叫ぶ。



168(431)
→|back

彷徨いアリス