個人的な理由………?クロームが不思議そうに見つめる。私もポカンといた口がふさがらない。

え、個人的な理由………?大事な事だから二回読者にいったぜ。
まさか……と顔が青ざめていく。


「まっまさか……デブ専「違います」ですよね〜」

うぅ……そんなめっちゃ力強く否定ひていしなくてもいいじゃないの。(ほぼさけびに近い否定だった)
あ、今なら涙出そうです監督かんとく………。私、泣けるわ上手に……。

困り果て打ちひしがれていると、また彼は思いだしたように手のひらを打ち、可愛く人差し指を立てて付け足した。

「貴女とは初対面ではないですよ……?」

「え?」んー、でも……こんな第一印象インパクトありまくりな人なかなか忘れないと思うんだけどなぁ。

「夢で会いませんでしたか?――って言うと、どこか陳腐ちんぷでキザな口説くどき文句みたいに聞こえますが……」

パチリと、片目を閉じてウィンクをしてみせる。やたらと整った顔のせいで、凄く似合ってムカつく。

だって、夢だって……あ、私の安眠あんみん妨害ぼうがいしたヌシ………?

今度は、ハッキリと戸惑いがちに眉間みけんにシワをよせつつ睨みあげると
心底面白そうに眼を細めた彼が、ようやく分かったかと言わんばかりに笑みを浮かべた。

「ええ……クフフ。――本当に面白い子だ。これなら雲雀恭弥が気に入る理由も分かる気がしますね」

彼の瞳が一層深くなる、パチリと指がなったのと同時にまぶたが急に重くなって……。

私はまた底の見えない暗闇に意識を落とした。

……

――戦いの女神はほほ笑む。全ての争いにはさした理由はないのだと。
そこには勝者と敗者というシンプルな図式しか成り立たない。
ただ、人間ってそれだけではないのでしょう?と笑うのだ。

その言葉を代弁だいべんするように、少年が怪しく微笑ほほえんで気を失っている少女の頭をなでる。

「彼も貴女というしばりがあれば、燃えると思いませんか?」

独特な笑い声が廃墟の黒曜こくようランドに響き渡った。その声は苦しそうに瞳を閉じ
あらい息をつき悪夢にうなされる少女には届く事はない。

ああ……このまま、目覚めなければ良かった、ときっと少女は後になって後悔こうかいするのだ。
しかし、それすらも戦いの女神の喜びとなるだろう。
彼女の代わりに、少年はまたクスリと心底楽しんでいるとばかりに笑みをこぼした。



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彷徨いアリス