「っ!!」

ハーフリングを掴んだ瞬間、さっきまで倒れていたベルが起き上がった。
それはまるでホラー映画のワンシーンのよう。
死んだはずの死体が生き返ったような心地で息をのむ私達。

シャマルが油断するなと画面越しに一喝いっかつしたが
画面の向こうでお互いボロボロになりながらリングを奪いあう二人。
ベルにいたってはもう意識もとんでいそう。本能だけでリングを求めている。

『まもなく約束の時間です』

無機質なアナウンスが響いた。

「時間…あっ!!」

「獄寺くん!!」

「いかん。傷のせいで体力が落ちている。――このままではいかんぞ」

どっどうしよう。獄寺にはもうベルを押しのける体力もなさそう。

「やむを得んな……。リングを敵に渡して引きあげろ隼人!!」

一同ははじかれるようにシャマルを見る。
確かにリングは大事だ。だけどあと一分で爆破されるなら獄寺が危ない。

「わっ…私も、悔しいけど今回はにげてほしい!!」

「獄寺!!」

「タコヘッド!!」

皆も同じ気持ちなのか戻ろうとしない獄寺に声をあげる。
確かにここで負ければ後がきびしい。
だけど、獄寺を失ってまで手に入れる勝利なんかいらない!!



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彷徨いアリス