沈黙が流れる。いつもは居た堪れないけれど
この時の沈黙は必要な沈黙だったと感じる。
彼にもキチンと考えて発言して欲しかったのもあるし、自分がすぐ聴く勇気もなかったから。
私が、何度も心の中で問いかけて来た問い。
いつかははぐらかされてしまったけれど……やっぱり彼の口からききたかった。
孤高を貫く、一匹狼が……どうして子豚を気にするのか。
自然界の摂理でいけばいつか捕食するための保存食扱いだろうけど
現実はどうだろう。――私はなんのために生かされてる?
彼が私に係わることなんてデメリットしかないはずなのに。
「もし理由がないなら…たまたまとか気まぐれでもいいんですよ」
確かにそういうことから続く人間関係もないこともないと
助け舟を出すように困り顔で笑めば、彼は静かに違うと呟いた。
「僕も…これをどう言えばいいのか分からないから困っている。
君を見かけたのはちょうど君が多分並盛に来た直後くらいだった」
並盛にきた直後と言えば、ちょうど日本に戻ってきた時だ。
外国帰りで右も左も分からず、初めて来た並盛に戸惑ったっけ。
「君は覚えてないだろうけど、僕に道を尋ねたんだ」
ポツポツと語り出す彼。失礼だが私の方と言えば全く覚えてなかった。
というか昔の私すごいな。普通に雲雀さんに話しかけて。
私が百面相していたのが面白かったのか、フッと彼は小さく笑って続けた。
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彷徨いアリス