しばらく沈黙した後、私は盛大に吸っていた息を吐きだした。
どこで吐いていいか分からなくタイミングを失っていた二酸化炭素が一気に身体から出る。

「っはっ…はぁっ」

流石に彼も身を引いて気遣いからか背をさすってくれた。

「ワオ。大丈夫かい?」

「っはい…。――でもよかったぁ」

頬を赤くしたまま笑むと彼は一瞬固まり、意味が分からないと首をかしげた。

「私がなにかしたんじゃないかと不安だったんです」

私が怒らせて狙われてるという今までの最有力だった読みは外れたらしい。
あ、でもハッキリとした理由が分からないと言われた今
もしかするとその可能性も捨てずらいし……。

心臓が小さな身体を揺らすように、まるで時限爆弾みたいに急かしてる。
私のことを嫌ってないんですか?もしかして好きなんですか?
ふとそんな言葉を鼓動に急かされてつい口走ってしまいそうで怖かった。

「なにかした…わけではないと思うけど。
僕もそこまで考えた事はなかったし。
基本的に群れるのは嫌いだから…こうやって誰かのことを
考えたりするのも珍しいことだからね」

チラッと横顔をうかがえば、よかったねと言わんばかりの笑みを浮かべていた。
またそれがくやっしいくらいカッコよくて、何も言えずに視線をそらして黙るしか出来なかった。

1分くらい間をあけて、沈黙に耐え切れずに終わらせようと言葉を紡ぐ。
「もうすぐ…雲雀さんも試合あると思いますけど…あの…」

負けないでと言う前に彼は笑った。
とても自身ありげで、そしてゾクッとするほど不敵な笑みで。

「僕が勝つ」
ただその一言だけで私を納得させるには十分だった。



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彷徨いアリス