「クフフっ………。――確かに……彼女はいささか危機感(ききかん)がないようですねっ!!」

そう呟いた骸は笑うのをやめると、急に雲雀に攻撃しかけて来た。
雲雀もさっきまではふらふらだったのがウソのように、突発的(とっぱつてき)な攻撃も何なく交わして応戦(おうせん)している。

流石(さすが)だな……と一瞬関心しつつも、日頃から強いと分かってた雲雀はおいといて
それを応戦している彼の強さにも目を見張る。

二人とも細い身体の……どこからそんな攻撃を繰り出せるんだ。
自分の丸い身体を一瞬見つめるも、むなしさが募(つの)るだけなので辞(や)めた。


お……雲雀さんが何か押してきてる………?

何かどっちが勝ってもめんどくさそうだけど、とりあえず誘拐犯パイナポーより
目つきの悪い並盛クラスタ番長が勝った方が私的(わたしてき)に得だと思う。

何だかどっちかに媚(こ)びてるみたいで嫌な女になった気がするけど
こういう状況ならお父さんもお母さんもそうしなさいと言うだろう……と無理やり納得させた。

「がっ……がんばれぇ〜」怖いから小声で応援したが、二人の耳に何故(なぜ)か届いていたようで
二人の視線がバッとホラー並に私に注(そそ)がれたので、ひっと小さく息をのんだ。

ホラー的に言うなら、み〜つけた〜とでも言われそうな状態。
しかも、同時に発見されたらどんな映画のヒーローやヒロインも逃げれそうにないかも。


「ふっ……二人ともがんばれ〜」と慌てて小声で付け足し、引きつった笑みを浮かべる。

その言葉を噛(か)み締(し)めるかのように聞いた二人は、視線をお互いに戻しボソッと呟(つぶや)いた。

「何か複雑ですね……。美緒さん、応援するなら僕を応援してくれません?」
「君……今の立場分かってるよね?――僕が勝たなきゃ助からないんだよ?」

呟きの割にはどちらもドスが効(き)いているようで、聞いてるだけで倒(たお)れそう。
思わずクラッと意識を手放したくなったが、無視して鎖がほどけないなーっと誤魔化(ごまか)し作業に入った。

もうどっちが味方かも、今どっちを敵と認識すればよいのかも分からなくない。
私の勘(かん)だと二人とも危ない認定して警報(けいほう)をならしているし……。



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彷徨いアリス