「ご存じですよね?――幻術を幻術で返されたということは
視覚のコントロール権を完全に奪われたことをしめしている」

「ッ!!…ぐげっ!!」

マーモンのペットだったはずの蛇がマーモンを締め上げた。

「さぁ…力とやらを見せてもらいましょうか」

壁が、床が……その言葉を合図だったかのように溶け出した。
真っ暗なブラックホールのような空間に吸い込まれるように墜ちていく。

体育館の中央にいた二人だけじゃない。そこからギャラリーの私達まで
穴は躊躇ちゅうちょなく広がりをみせると、ぽっかりと容赦ようしゃなく口をあけて待ち構えた。

「きゃあ!!」

「おっ落ちる!?」

「大丈夫か!?」

「美緒さん…しっかり捕まってください!!」

ツナは山本に、私はバジル君に捕まれて助けてもらい引っ張りあげられながら
バクバクする心臓のまま、ヒーヒー言いながら呼吸を整えた。

「しっ…死ぬかと思ったぁ」

「…私も」

悲鳴をあげて落ちていくマーモンはともかく、骸なんて笑いながら落ちていったけど。
メンタル大丈夫だろうか。――いや、ワカッテルヨ…これが現実ではないって。

でも、目の前にあいた穴には恐怖しか感じない。
どこまでも底が見えない。本当に何十メートルも滑落かつらくした地面みたい。



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彷徨いアリス